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福島県会津坂下町立中学校1年だった2014年、いじめを受けて不登校になり、その後卒業後の2019年1月に自殺した男子生徒について、「学校側の対応が不適切で、いじめを誘発・悪化させた」として、遺族が会津坂下町を相手取り約330万円の損害賠償を求めた訴訟は、2023年11月17日に福島地裁で和解が成立した。

町が学校側の当時の対応の不適切さを認めて謝罪し、遺族側は損害賠償請求を放棄するなどの内容となっている。

経過

報道を総合すると、当該事案は、以下のような経過になっているようである。

同校1年だった男子生徒は2014年5月、学校で、教室に置いていた筆箱がなくなり校内のトイレで発見される被害を受けた。学校側は、生徒の筆箱をトイレに持ち去った生徒が誰かを調べようとしたが、特定できなかったとして、2014年6月に「クラス全員の連帯責任として、休み時間にトイレ以外では教室の外に出ることは禁止する」とする「禁足」の指導をおこなった。

しかし「禁足」指導ののち、指導への不満が当該生徒に向く形で、当該生徒へのいじめが激化し、同級生から暴力を振るわれるなどした。これらのことで生徒は不登校になった。

当該生徒は学校にほとんど通えないまま卒業し、卒業後の2019年1月、遺書を残して自殺した。

生徒の遺族は、学校側の対応が不適切だったと訴え、町を相手取り約300万円の損害賠償を求めて、2021年7月20日付で福島地裁に提訴した。提訴当時の報道によると、遺族は「いじめの原因究明と今後のいじめ問題の教訓となる判決を求める」と訴えていた。

福島地裁は和解を勧告した。遺族側は、「禁足措置」が生徒への配慮を欠いた状態になったことを町が認める内容が盛り込まれたことなどで、和解に応じる判断をしたという。

和解内容は、▼禁足措置が生徒へのいじめを誘発し不登校に追い込んだことを、町が認めて謝罪する。▼町は今後、学校での生徒指導として「禁足措置」をしないことを約束する。▼遺族側は損害賠償請求を放棄する。といった内容になっているという。

雑感

生徒へのいじめを誘発し、不登校に追い込み、死に追い込んだような「生徒指導」は、あってはいけないことである。事実関係が認定されたことは重く受け止める必要があるし、当該の町や学校だけでなく、日本全国的に生徒指導のあり方についてはしっかりと考えていかなければならないと思われる。

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