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大阪府・大阪市の「副首都推進本部会議」は2024年2月9日の会議で、大阪公立大学について、「秋入学」を導入し、将来的には全学生について現行の4月入学を廃止して秋入学に一本化する構想を明らかにした。
国際化とグローバル化を進めるためなどとしているという。
吉村洋文大阪府知事は、秋入学の方向性に賛同した上で、同大学での教育活動について、「国際化やグローバル化の拠点にする」「国一律にやるのは難しいので、大阪を知の拠点にする」「将来的には大学の公用語は英語にするべきだ」などとも言及した。
大阪府や大阪市は、その構想の具体化を検討するプロジェクトチームを作り、細部を詰めていきたいとしている。
しかしながら、「秋入学」への全面的な移行については、重大な問題がある。
そもそもの話として、大学の運営については、大学側の主体的な意向をもとに、その代表者たる学長が決定をおこなうという立て付けになっている。政治・行政が大学を飛び越えて、大学運営や学生・教職員の扱いの根幹にかかわるような、そのような重大な構想を発表することは、それ自体に問題がある。
さらに入学時期を「秋入学」にずらすというのは、過去にも時々浮上したが、「4月から入学時の数ヶ月間の、入学予定の学生の過ごし方の問題」「就職や年度などとの関連」「入学試験の時期などの問題」「切り替わりが実現した場合、その時期に在籍している在校生や教職員の扱いをどうするか」などが指摘され、困難だと判断されて立ち消えになったという課題である。近年では、新型コロナ問題で休校時期が長引いたことへの対策に乗じて、秋入学の導入を主張した政治家がいたが、難しいと指摘されてその後聞かれなくなった。なお、そのときに秋入学導入を主張した政治家の一人が、吉村洋文大阪府知事でもある。
それらの問題を差し置いて、「国際化」「グローバル化」などと耳障りの良さそうなことをいっても、現場を混乱に陥れるだけであろう。