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大阪府教育庁は2024年3月7日、2024年度大阪府公立高校入試の最終出願倍率を公表した。

大阪府では、維新府政の教育改悪、高校入試改悪により、「公立高校の統廃合方針」「私学誘導方針」が進んでいる。

公立高校入試の出願倍率についても、そのことが反映される結果となった。

維新府政のもとで、進学実績を向上させることを目的とした専門学科・文理学科が新設された。文理学科を設置する一部高校では、出願倍率が軒並み上昇した。倍率の低いところでも1.1倍、一昔前なら1.1~1.2倍の倍率になれば超高倍率として騒ぎになっていたにもかかわらず、さらに1.5倍などの学校も出るなど、軒並み高倍率となっている。

しかし普通科・専門学科・総合学科の高校の大半は定員割れする結果となっている。旧学区で2~3番手の中上位層が進学するといわれていた普通科高校から、専門学科高校や総合学科高校も含めて、定員割れの状況が目立っている。

もっとも大阪府の公立高校は、2009年、当時の橋下徹知事のもとで、不況を背景に公立高校に志願者が集中し、二次募集や定時制募集を経ても行き先がなかった卒業生が100人単位で出た苦い教訓から、それ以降は公立高校の定員については卒業生総数と比較して余裕を持たせた設計となっている。

しかし、その橋下徹が創設者となった大阪維新の会が府政与党になると、教育改悪を進めた。高校入試に関することだけみても、学区制の拡大と撤廃、「中学生チャレンジテスト」の実施、文理学科の創設、入試判定制度の変更、一部教科で入試問題の難易度選択を可能とするシステム、「3年連続定員割れの公立高校は再編を検討」とした大阪府条例、私学無償化制度などがある。

それらは全く別個の内容ではなく、互いにつながっていると見受けられる。この結果、成績上位層を対象とする公立高校の難化と、公立高校の輪切り傾向が進んだこと、公立高校の統廃合、受験生が私学に流れる傾向が強まったことなど、多くの分野に問題が生じた。

これでは近い将来、多くの公立高校が「3年連続定員割れ」として、統廃合の対象となってしまうことにつながりかねない。これは憂慮すべき事態である。

そもそも「3年連続定員割れは再編を検討」とする条例自体が、公立高校にはなじまない。さらに、私学完全無償化の実施により、受験生を私学に誘導して、その結果公立高校の統廃合を加速させ、セーフティネットを奪うことにもつながってしまう。一体、何をしているのかという思いである。

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