当ブログは2024年8月以降、新サイト(https://kyouiku-blog.hatenablog.jp/)で更新をおこなっています。
毎日新聞が2024年3月10日、『「黒髪・直毛」が前提の校則 外国人ルーツの子の人格形成に影響』という記事を掲載した。
外国にルーツを持つ児童・生徒の髪型と校則について、東京弁護士会が調査し、このほど結果を公表したという。それについての記事となっている。
調査は2023年、外国にルーツがあり日本の小中高校に通った経験を持つ人とその保護者を対象に、ネット上でおこなわれた。現役の児童・生徒と、高校を卒業した人の、合計124人が回答した。
同記事では、児童・生徒のうち約24人に1人が、外国にルーツを持つとされる。その一方で、学校では「黒髪・直毛」を標準のものとし、それからはみ出るものは修正を余儀なくさせるという指導がおこなわれているとするものである。
そのため、明文化された校則や、明文化されていない「決まり」のたぐいも含めて、髪の毛の色は「黒以外は禁止」とする指導を受けた児童・生徒が多かったという。中には、ストレートパーマや黒染の強要を受けたとする人もいたとされる。
一方で、学校側の理解により、髪質に合った髪型を許可してもらえる例もあったともされる。
雑感
そもそも「日本人とは何か」という問いは、一見すると単純なように見えるが、非常に奥が深く、一言では回答できないものではある。また単純な答えが見いだせるようなものではない。特定のイメージに基づいて短絡的な回答をしてしまうと、それこそ差別・ヘイトにもつながりかねないことである。
そういう根源的な問いを差し引いても、日本の学校教育法に基づく学校において、学校の側が一定の「日本人」らしさの規範を線引きし、それに合わないとみなせば校則や生徒指導における「指導」の対象にするという行為は、校則の運用としてもおかしいのではないのだろうか、また当該の児童・生徒の人権にもかかわることにもなるとも見受けられる。
このことは、外国ルーツの児童・生徒だけにとどまらない。ルーツは日本国内にあっても、生まれつきくせ毛の髪質や、髪の毛の色が茶色がかっているなどの特徴をもっている児童・生徒もみられる。それらの児童・生徒についても、学校側が考えた規範に合わないと「指導」の対象になってしまうというのは、当該者の人権にもかかわることであり、問題になってしまう。
また髪型などは個人のアイデンティティにも関わることになる。強制力を持って一定の方向にまとめようとする「指導」をおこなうことで、個人の人格否定にもつながりかねない。
今回の調査は「外国ルーツの児童・生徒」についての「髪型」についての校則に限定した調査ではある。しかしながら、限定された範囲のみならず、広く校則全般についてのあり方を検討・検証し、児童・生徒の人権や子どもの発達などの観点とも整合性がとれるような内容にアップデートしていきたいと願うものである。