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「名古屋市立中学校1年だった女子生徒が2018年1月に自殺したのは、学校側がいじめを放置したのが原因」などとして、生徒の遺族が名古屋市を相手取り約1500万円の損害賠償を求めた民事訴訟で、名古屋地裁は2024年3月19日、「いじめの予見は不可能だった」として学校側の過失責任を認めず、遺族側の請求を棄却する判決を出した。
経過
報道や判決文によると、経過は以下のようになっているという。
当該生徒は1年だった2017年2学期より、大阪府から名古屋市名東区の当該中学校に転入し、ソフトテニス部に入部した。しかし部活動で部員からのいじめを受けていたという。当該生徒は2018年1月に自殺した。
名古屋市は第三者委員会を設置して当該事案を調査し、2021年に調査報告書をまとめた。調査報告書では、部活動で無視されるなどのいじめがあったことは認定した。その一方で自殺との因果関係については、要因の一つとして指摘したものの、いじめが直接の原因となったものではないとした。
遺族は2022年7月、「生徒の生前に実施されたいじめアンケートなど、学校側が察知する機会はあった」「自殺側の学校や市教委の対応も不適切だった」など訴えて提訴した。しかし名古屋市は遺族側の訴えについて、争う方針を示していた。
名古屋地裁は和解案を出したが、和解はまとまらず、判決に至ったという。
そして判決では、学校側の面談で当該生徒が「いじめなど困っていることはない」と回答したことなどとして、学校側はいじめを予見することは不可能だったとして、過失はないと判断し、請求を棄却した。
遺族側は記者会見で、「裁判所はいじめをなくす気がないのか」などと判決を強く批判した。
雑感
この判決は、遺族側の立場からみれば、極めて厳しい判決であるといえる。名古屋市の調査でいじめが認定されたにもかかわらず、裁判では学校側の責任を認めないとされたのは、なんともいえないつらさを感じる。
無視されるなどのいじめは一人の人間の命を奪うものであるという、そういうことをしっかりと受け止めたうえで、当該個別案件での被害回復・名誉回復、また今後同種の事案を未然に防ぐ・あるいは万が一発生しても被害を最小限に抑えていくことを考えていかなければならない。「」