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神戸市立東須磨小学校で2019年に発覚した同僚教員集団いじめ事件に関連して、事件対応にあたっていた神戸市教委の担当職員が自殺したのは「市が適切な対応を怠ったから」だとして、遺族が神戸市を相手取り約1億3800万円の損害賠償を求めて訴えた訴訟で、神戸地裁は2024年5月16日、市に対して約1億2000万円の損害賠償を命じる判決を出した。

教員いじめ事件は、被害教員が新採用で同校に赴任した頃から継続して続いていたという。加害者は同僚教員4人、被害者は当該被害教員のほかにも複数いたとされる。管理職は事案に適切な対応をしなかったともされている。被害者が倒れるなどし、2019年10月に神戸市教育委員会に相談して発覚した。

加害者のうち2人は懲戒免職処分となり、残る2人も停職や減給の処分の上で学校現場以外への配置換えになったとされる。

この事件に関連して、神戸市教育委員会に勤務していた当該職員が担当となり、事件発覚後には長時間の時間外労働を強いられるなど多忙となった。当該職員は2020年1月頃に精神疾患を発症し、2020年2月に自殺した。

今回の訴訟は、当該職員の遺族が、「神戸市の対応が不適切だった」と訴えたものだという。遺族は「長時間労働や精神的負担に対し適切に対応しなかった」と訴えていた。

この事案では、元々の事件となった「教員による、同僚教員への集団いじめ」という行為それ自体が極めて悪質なものである。それだけでなく、当該の加害者、学校、神戸市の対応についても、問題が指摘され、あちこちに問題が飛び火させられたような形にもなっている。

そのような中で、教育委員会担当者の長時間労働や精神的な負担を招き、それへのバックアップ体制が取られないまま、最悪の状況を招いたということは、極めて残念なことである。訴訟の性質上、被害をお金に換算しなければならないという面もあるが、原告側請求額の大半が認められたということは、当該職員が置かれた状況はそれだけ重大な案件だったのではないかともうかがわれる。

被害が認められたことはよかったが、失われた命は戻ってこないという悲しい現実もある。このようなことが再び起こらないような対応が求められている。

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