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栃木県那須町で2017年3月、県内の高校の登山合同講習会の実施中に雪崩が発生し、栃木県立大田原高校の生徒7人と同校教員1人が死亡する事故があった。

この事故について、講習を実施した引率者側の3人の教員に対して、宇都宮地裁は2024年5月30日、禁錮2年の実刑判決を下した。

概要

栃木県高体連登山専門部は2017年3月、春山安全登山講習会を実施していた。県内の7高校の山岳部・ワンダーフォーゲル部などの生徒約50人と顧問教員約10人が参加した。

実施場所の栃木県那須町の国有林で2017年3月27日朝に雪崩が発生し、参加者らが巻き込まれる大事故になった。生徒7人と教員1人が死亡し、40人が負傷した。

主催者側は事故当日、「前日からの積雪があった」として、主催者間での相談を経て、事前に予定していた那須岳登山を中止し、深雪歩行訓練を実施する計画に変更していた。

刑事事件としては、栃木県警は2019年3月、3人の関係教員を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。宇都宮地検は2022年2月、3人を同罪で在宅起訴した。

起訴された教員は、高体連登山専門部の委員長で同講習会責任者、同副委員長で死亡者8人の出た班の引率担当者、後続の別の班の引率担当者の3人だったとされる。

教員側は「雪崩は予見できなかった」と主張し、無罪を求めて争った。一方で検察側は「大量降雪や急斜面の危険性などを全く検討せず、安易に計画を変更し漫然と訓練をおこなった」として、各被告に禁錮4年を求刑していた。

なお2020年に一部の遺族が、栃木県・県高体連・引率教員3人を相手取り、民事調停を申し立てたが不成立になったとして、2022年に民事訴訟に踏み切っている。宇都宮地裁は2022年9月、栃木県と県高体連の過失を認め、計約2億9270万円の損害賠償を命じる判決を出し、確定している。

雑感

当該教員への量刑の内容については、特にコメントすることはないので、ここでは差し控える。

刑事事件としての教員への措置の内容とは別の視点からの話として、学校事故、部活動事故に対して、刑事裁判でこのような判決となったことは、重く受け止める必要があろう。

何よりも生徒および引率教員も含めた安全を確保することが重要なことである。このような事故を未然に防ぐためにも、何をしなければならないかという憲章は、必要になってくるであろう。

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