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北海道旭川市立中学校に通っていた女子生徒が2021年、雪の中から凍死体で見つかり、背景にいじめが指摘されていた事案を調査していた、同市の再調査委員会は2024年6月30日、生徒の死亡は自殺だとした上で、自殺はいじめが主たる原因だったと判断し、いじめと自殺との因果関係を認める調査報告書を、市長に手渡した。
同案件については、生徒の死亡は自殺と判断したものの、いじめと事件の因果関係は「不明」とする調査報告書が2021年に出され、遺族側が再調査を求めていた。
遺族側の要望を受け、再調査委員会が設置された。再調査委員会のメンバーは、いじめ問題に詳しくテレビ出演などの経験もある、教育評論家で中学校教員・大学教員などを歴任した尾木直樹氏や、児童心理に詳しい精神科医で批評家としても著書がある斎藤環氏といった著名人も含め、学識経験者や弁護士などで構成されていた。
再調査委員会では、学校の内外で発生した7件の行為について、いじめだと認定した。また学校側は認知当初、いじめではなく加害行為の問題行動と認識して対応したことで、被害生徒への適切な対応がなされなかったとも指摘した。
新たに遺族から提供された、生徒が開設していたSNSの発信履歴約4000件の内容を分析した。その分析の結果、いじめを受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、自尊感情の低下などが亡くなる直前まで続いたと認定した。その上で「いじめがなければ自殺は起こらなかった」と結論づけた。
なお、調査報告書の全文については、2021年の調査委員会の調査報告書の非公開部分が外部流出した事案を踏まえ、対応策と安全確認がされ次第、後日正式に公表するとしている。
いじめが認定されたことは一安心ではある。その一方で、事件発生から時間が経ち、関係者の苦痛はその分長引いたということにもなる。また認定は一つの区切りではあるものの、関係者の苦難や苦痛は一生レベルで続くとも思われる。
いじめは、可能ならば未然に防ぐことが望ましい。とはいえども、発生することはどうしても避けられず、発生してしまった場合に速やかな対応を取り、被害を最小限に食い止めることが重要にもなってくる。