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大阪・関西万博に大阪府が府内の児童・生徒を対象に無料招待する事業について、2024年7月2日時点での集計として、府内約1900校のうち不参加を決めた学校が約40校あったことを明らかにした。
吉村洋文大阪府知事が2024年7月10日の記者会見で明らかにした。
大阪府での無料招待事業については、4歳以上18歳未満を対象とし、小中学校、高校、特別支援学校などに在籍する児童・生徒については、校外学習などの形で学校単位での招待の方針としている。
大阪府が各学校に対して、参加希望の意向調査を進めていた。
参加希望の意向調査
しかし調査内容は、参加への誘導ありきと受け取られるものだった。「未定・検討中」と回答した場合には、事務局から個別に意向確認の連絡があることや、後日参加を希望する場合にも日程調整が後回しになるなどの不利益があることなども指摘されていた。
万博、および学校招待事業への不安
また万博そのものについても、ゴミ処理場の埋め立て地という土地の事情から、メタンガスがたまり、2024年3月には工事作業中の爆発事故も発生しているなどの問題も起きている。
さらに、交通アクセスの問題が指摘された。大阪府が貸切バスを一定数確保しているとは言えども、1日当たりに換算すれば大阪府全域で10台程度しか稼働せず、割り当てがあるかどうか不透明であること。学校や市町村独自で貸切バスを確保した場合、一人当たり5000円~6000円はかかるという見積もりが出され、校外学習で出せるような額ではないと指摘されていること。また公共交通機関利用の選択肢をとっても、地下鉄が延伸予定だとはいえども、招待を受けた場合は移動がラッシュアワーと重なって満員電車に乗せられるのではないか、そのため引率も危険になる、これではとりわけ小学校低学年の児童にとっては危険なのではないかとも指摘された。
さらに、万博会期は4月から10月だが、学校のスケジュールなどを考えると、学校に割り当てられる日程は暑い時期にかかる可能性が高まるともされている。熱中症対策なども必要になるが、日陰などがないのではないかとも指摘されている。また昼食をとれる場所があるかどうかなどの不安もある。
これらのことから、学校現場では不安が出ているとしている。
大阪府内の教職員組合は、万博での不安を指摘し、事業に関する申し入れを複数回おこなっている。当初は「爆発事故や、引率への不安が出たことなどについて、詳細な情報提供などを求める」という内容を申し入れたが、その後の申し入れではさらに踏み込んで「無料招待事業の中止」を求める内容でおこなった。
不安が解消しないうちは
大阪府は、学校現場にとっては強い圧力ともとれるような方法で、参加の方向性に誘導するような意向確認をおこなったといわれている。
その一方で、約2割が「未定」と回答したり、40校が不参加を明確に回答したという。
これらの結果については、行政からのトップダウンではなく、学校現場からのボトムアップの意向として、重く受け止めるべきであろう。
無料招待事業の中止の選択肢も含め、また実施するにしても現場の不安を解消するような対応策が取られることが求められている。