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福岡県久留米市立小学校で2024年3月、当時5年だった児童2人に対して、女性職員が素手でのトイレ掃除を指示し、うち一人の児童がしばらく「眠れない」「食欲がない」と訴える症状が続いていたことがわかった。
経過
RKB毎日2024年7月28日『男子トイレを素手で掃除「おしっこが飛び散っていて。気持ち悪かった」 女子児童に指示した小学校の職員「できるだけきれいな校舎にして卒業生を送り出したかった」』が、事件の経過を報じている。
これによると、経過は大筋で以下のようになっているとされる。
2024年3月、翌日の卒業式を控えて準備作業がおこなわれていた。5年の女子児童2人は、自分の担当の場所の作業が早く終わったとして、女性職員から「男子トイレを素手で掃除する」ことを求められた。
児童はモップを使うことを希望したが、職員は「(教室で普段使用している)自分の雑巾を持ってきて、下(トイレの床)を拭いて」と指示した。さらに職員は児童に対して、アルコールで湿らせたトイレットペーパーで小便器を拭くことも指示した。
その間、職員は立ち会って様子を見て指示を出すだけで、一緒に掃除するなどはしなかったとされる。
児童は、自分の雑巾を使わされたことや、衛生上の懸念などを指摘し、一時食欲がなくなる・眠れなくなるなどの症状が出た。
保護者が久留米市教委に相談したところ、「学校を通じて事実確認をする」という返答だった。学校側は当該職員への聴き取りはおこなったものの、「もう一度つらい思いを思い出させて傷つけたくない」として、児童本人への聴き取りはしなかったとされる。
しかも保護者の元には、学校から直接の連絡はなく、「学校から依頼を受けたという、普段は特に保護者同士が親しいわけではない、同級生の保護者」からだったという。
職員は「普段モップやブラシで掃除していることは知っていたが、できるだけきれいな校舎にして卒業生を送り出したかった。男子児童がいなかったので女子児童にやらせた」としているという。
久留米市教育委員会は、「衛生面での問題がある」「女子児童に男子トイレの掃除をさせたのも適切ではない」として、不適切指導だと判断した。
学校側は不適切指導と、第三者に電話番号を教えたことについての謝罪があったという。しかし当該職員本人からの謝罪はなく、処分等についても校長による口頭指導だけだという。
雑感
このような方法でのトイレ掃除は、適切なものだとはいえないだろう。
「素手で便所掃除」的なことを推進している一部のところとの関係は、不明である。しかしながら、このような方法では衛生上の懸念が生じることになってしまい、ふさわしくない。しかもモップを使用すると申し出ているにもかかわらず、自分の雑巾を使用させて床を拭かせ、さらに使用後の雑巾を持ち帰らされたというのも、不適切ではないかともいえる。
専門家からは、以下のような指摘もなされている。
女子だから男子トイレに入ってもいいという考えがあるとしたらこれは大きな問題で、男子が女子トイレを掃除するのはいいのかどうかとかあるいは男子がトイレに行きたい時に女子が掃除をしている横で用をたすのかどうかとか、様々な問題があります。
その点のジェンダーの問題についても、みていく必要があるだろう。
また、学校側の事後の対応についても、疑念を感じる。