文部科学省は3月30日、2012年度から使用される予定の中学校教科書と、高校数学・理科教科書の検定結果を発表しました。




 今回の検定に合格した中学校教科書は、2011年夏から秋にかけて採択予定となっています。


 現時点では教科書の内容は報道を通じての範囲でしか把握できませんが、今回の教科書検定ではおおむね以下の特徴がある様子です。



  1. 「脱ゆとり」を背景に、理系教科を中心に教科書のページ数が増加傾向にある。
  2. 数学の「2次方程式の解の公式」、理科の「イオン」など、かつては中学校で学習していたものの現行では高校段階に先送りされた内容が中学校段階で復活。
  3. 社会科教科書では、竹島や尖閣諸島について触れられている。
  4. 社会科で、「新しい歴史教科書をつくる会」による教科書(自由社)と、「つくる会」内部の主導権争いによる分裂で誕生した亜流団体による教科書(育鵬社)の2種類が検定を通過。

 「つくる会」問題については、例によって『産経新聞』が関連教科書2種類の礼賛と他社教科書への批判キャンペーンを繰り広げている様子です。


 産経新聞(web)2011年3月30日配信の複数の記事(「【教科書検定】反日的な記述残り  ロシア革命も肯定的
」「【教科書検定】外国人参政権、自衛隊、天皇…どう書かれているか」など)では、自由社・育鵬社以外の中学校社会科教科書について「一方的な記述が目立つ。」などと大々的に喧伝しています。しかし、むしろそれらの記事によって、「つくる会」関連教科書のほうが従来通り一方的な内容を書き散らしていることを自ら宣伝している結果になっていることは皮肉です。


 今後教科書採択の手続きに移ることになり、過去の教科書採択の時と同様、「つくる会」側の策動も激しくなることが予想されます。「つくる会」教科書を採択させない取り組みを具体化していく必要があります。


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