橋下徹大阪府知事は5月17日、入学式・卒業式での「君が代」に起立しない教員を免職にできる条例案を提出する意向を表明しました。


 「君が代」については思想信条の問題もあり、そもそも強制はなじまない性格の問題です。また国旗・国歌法での政府見解でも強制は望ましくないとされています。学習指導要領でも入学式・卒業式を含めた学校行事は学校の自主性に基づいて運営されることが定められ、教育委員会や行政が特定の指示を押しつけること自体が問題となります。行政による強制こそが、違憲・違法の疑いのある行為です。
 また起立や斉唱の状況が、教員としての資質に即結びつくものでもありません。児童・生徒への暴力やわいせつ行為など重大な人権侵害行為への処分はあいまいにする一方で、教員の資質に全く関係のない「君が代」不起立に対して「諸悪の根源」かのように執着すること自体、きわめて異常なことです。
 「君が代」の不起立によって、誰かの人権を侵害したり、式典を実力で妨害して正常な進行を妨げた形になっていたりなどの状況は、全く存在しません。
 むしろ「君が代」強制こそが悪質な人権侵害ですし、学校の自主性によって運営されるはずの式典に上から特定のやり方を実力で持ち込むことで正常な進行を妨げていることになります。
 「君が代」を強制し、従わない教職員を処分する条例案を検討すること自体が危険なことです。仮に「君が代」問題で処分が必要ならば、「君が代」強要を推進している教育委員会関係者こそが処分対象になるべきものだということになってしまいます。
(参考)
◎橋下知事「国歌斉唱で起立しない教員は免職」(読売新聞 2011/5/17)
◎君が代不起立「複数回で免職」 橋下知事が処分条例案(朝日新聞 2011/5/17)
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