「入学前の説明では『希望者全員が系列大学に進学できる』としていたにもかかわらず、実際には在学中に条件が変えられて希望者のうち一部しか進学できなかった」として、金蘭会高校(大阪市)を今春卒業した元生徒6人と保護者らが5月23日、学校の運営法人を相手取り、授業料返還や慰謝料など約3000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。


 金蘭会高校では2008年度より看護進学コースを新設しました。原告らは1期生として2008年度に入学し、2011年3月に卒業しました。
 高校受験時の学校案内では「希望者は全員、系列の千里金蘭大学看護学部に進学できる」として受験生を募っていたということです。
 しかし2年生に進級した2009年になり、大学側から高校側に対して、大学側の状況をあげて「全員を無条件で受け入れられない」とする通知がありました。
 大学からの通知を受け、高校では2009年12月、系列大学への内部進学については「高校在学中の成績要件を満たした生徒だけが内部推薦入試を受験できる。その上で筆記試験に合格した生徒のみ進学させる」とする条件変更を実施し、生徒らに通知したということです。
 千里金蘭大学への内部進学希望者は、3年生だった2010年4月時点では同コース24人中17人いました。しかし実際に内部進学できたのは6人のみでした。
 法律的にどう判断されるのかはともかく、少なくとも学校の対応は教育的なものではありません。進路にかかわるような重大な内容を、生徒にとっては不利になるような内容に一方的に変更したことは、信義にもとる行為だといえます。
 『朝日新聞』(web版、2011年5月23日)によると、原告の保護者の話として以下のような内容が紹介されています。――「詐欺まがいの行為で生徒を集めるのは進路指導の根幹を揺るがす行為だ」。学校の対応は、このように厳しく批判されても仕方がないでしょう。
(参考)
◎内部進学できなかった卒業生が高校提訴 大阪の金蘭会(朝日新聞・web版 2011/5/23)
◎「全員進学は偽り」と提訴 内部推薦めぐり元高校生 大阪(産経新聞・web版 2011/5/23)
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