2012年度使用予定の検定済教科書を展示する教科書展示会が、地域によっては始まっているということです。


 「教科書の発行に関する臨時措置法」施行細則に基づいて文部科学省が指示した法定展示期間は6月17日から14日間だということです。一方で自治体によっては法定外展示期間を設定し、法定期間の前後にも独自に展示を実施しています。
 2011年夏には中学校の教科書採択が実施される予定となっています。今回の教科書採択では、『新しい歴史教科書をつくる会』系列が作成した自由社・その亜流『教科書改善の会』系列が作成した育鵬社の右派2社が検定に合格した、社会科歴史・公民教科書の採択が懸念課題となっています。
 前々回2005年検定では産経新聞系の扶桑社が教科書を発行。その後『つくる会』の内紛で扶桑社は『つくる会』と手を切り元『つくる会』反主流派の『教科書改善の会』として発行継続。『つくる会』は自由社から従来の教科書を発行し前回2009年検定に通過。この検定では2年後の学習指導要領改訂を控え採択期間が変則的になるため新たな申請は自由社中学校社会科歴史など2種類のみで、中学校歴史教科書についてはほぼ同じ内容の教科書が2種類出回る事態となった。今回扶桑社は、教科書事業を子会社の育鵬社に移して発行。

 前回は、横浜市の8行政区(港南・旭・金沢・港北・緑・青葉・都筑・瀬谷)で自由社版歴史教科書、東京都杉並区で扶桑社版歴史教科書、栃木県大田原市・愛媛県立学校・愛媛県今治市越智郡採択区で扶桑社版歴史・公民教科書が採択されてしまいました。
 一方で愛媛県松山市のように、採択の危険性が高いと指摘されながらかろうじて阻止できた地域もいくつかありました。滋賀県立河瀬中学校(中高一貫校)のように、前回2009年採択で扶桑社版教科書採択を取りやめて別の教科書に変更したところもありました。
 今回も前回・前々回同様、右派教科書支持者がなりふり構わない策動を繰り広げることも予想されます。事実に基づいて2社の教科書を採択させないような世論を作っていくことが重要になってきます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集