京都市教育委員会で7月21日に予定されている教科書採択を前に、「京都 子どもと教科書を考える連絡会」が7月8日、京都市役所前で宣伝をおこないました。


 今年は中学校教科書の採択が実施される予定で、社会科歴史的分野・公民的分野での自由社・育鵬社の右派教科書2社の採択の是非も大きな争点となります。
 宣伝では両社の教科書について、日本の植民地支配の正当化や天皇の過剰な美化などの誤った歴史観の問題や、原子力発電に関して利点だけを強調し問題点にほとんど触れていない記述の偏りなどを指摘しました。
 確かに両社の教科書の記述の異常さは際だっています。両社とも、公民教科書では国民主権の記述はそこそこに、天皇に関する記述に大きな分量を割いていました。また歴史教科書についても、太平洋戦争時の昭和天皇に関する記述など、天皇を過剰に美化する記述がそこかしこに見られます。
 このほか日露戦争についても、朝鮮半島や満州をめぐる日本とロシアの勢力争いという本質を無視し、ロシアの脅威でやむなく戦争をおこなわざるを得なかったかのように描き、しかも日本海海戦の戦術だけはやたらと詳細に取り上げていました。その一方で与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」は両社とも完全無視していました。
 2007年度の高校日本史教科書で問題になった沖縄戦の「集団自決」問題についても、両社とも「米軍のせいで集団自決に追い込まれた」と描いています。
 宣伝では「このような教科書が検定に通過したこと自体が問題」と指摘した上で、採択しないように求めたということです。宣伝の趣旨には全面的に賛同できます。
(参考)
◎侵略戦争美化の教科書採択するな 京都市役所前で宣伝(京都民報 2011/7/11)
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