愛知県立高校2年の男子生徒が2011年6月に自殺した事件をめぐり、学校・県教委の初期調査がずさんだったことが判明した。


 野球部に所属していた男子生徒は、顧問教諭の「体罰」を指摘して「部活動に行きたくない」などと訴え、2011年5月から部活を休むようになった。顧問教諭からの呼び出しにも応じず、同年6月に自殺した。
 この生徒は直接暴行を受けていないとみられるが、他の生徒への「体罰」の様子を見て恐れていたという。
 自殺事件直後、学校側は教職員約70人中、学級担任と部活動顧問の2人からしか事情を聞かなかったという。愛知県教委の追加調査でも、調査対象は前述の2人と校長・教頭・別の顧問2人の計6人にとどまっていた。なお、この調査の中で顧問教諭の「体罰」が確認され、当該教諭は処分されたという。
 文部科学省では、自殺事案については全教職員と、自殺した児童・生徒に関わりの深かった児童・生徒に話を聞くよう求めている。しかしその手順を無視したことになる。
 学校側は「自殺の事実が校内に広がることを懸念した」「遺族が『そっとしてほしい』とする意向を持っていると考えた」という。
 むしろ、自殺の事実を隠して「そっとしてほしい」(うやむやにしたい)のは学校側の意向であろう。
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