「子どもと教科書全国ネット」は9月11日、東京都教育委員会が高校日本史教科書採択に介入したことに抗議する集会を、東京都内で開いた。


 実教出版の『日本史A』教科書の2013年度1年生から使用される予定の版で、国旗・国歌法について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」などと記述していることが気に入らないとして、東京都教育委員会が来年度日本史Aを開講する予定でこの教科書を採択する意向を示した学校に、採択を取りやめるよう圧力をかけたことが明らかになっている。・
 またこの攻撃は、産経新聞が実教出版教科書の当該記述をやり玉に挙げて攻撃した記事を出したことに呼応している。
 東京都立高校では実教出版の教科書を採択している学校は6校あるが、来年度採択予定の学校はゼロとなった。
 さらに同教科書をめぐっては横浜市でも、別の箇所の記述が不都合だとして、採択予定の学校の意向を無視して教育委員会の審議会が別の教科書に採択を差し替えさせた事件も発生している。
 「新しい歴史教科書をつくる会」系の右派勢力が行政と一緒になり、特定教科書の特定記述を執拗に敵視して、採択を組織的に妨害する現象が起きてしまっている。
 槍玉に挙げられた記述は、「つくる会」教科書のように学問的に誤りだとか不適切とかそういう記述ではない。事実を淡々と書いているだけである。「つくる会」系勢力にとって気に入らない記述だから特定他社の教科書の記述が自分たちの政治的主張を広めるのに不都合だとして敵視して、採択を妨害している構図である。これは突き詰めれば、将来的には自派教科書を無理やり押し付けようとする策動と表裏一体でもある。
 こういう採択妨害策動は決して許されない。
(参考)
「国旗・国歌強制の動き」記述の教科書 都教委「選ぶな」 介入抗議の集会 (しんぶん赤旗 2012/9/13)
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集