入学式や卒業式での「君が代」不起立やピアノ伴奏拒否で処分を受けた東京都立学校教職員64人が処分の取消を求めて訴えた訴訟で、東京高裁は10月31日、原告側の請求を全面棄却した一審判決を一部変更し、停職・減給処分を受けた教職員21人について「処分が重すぎる」として取り消しを命じる判決を出した。

 一方で戒告処分を受けた教職員については、一審に引き続き請求を棄却した。

 停職や減給が取り消されたことについては、 一部勝訴判決となる。一方で処分の軽重のみの判断となり、処分自体の違法性については踏み込まず、また戒告処分を容認したことなど、不十分な点もある。

 「君が代」問題は思想信条にも関わる問題であり、また国旗国歌法でも強制は望ましくないとされている。起立斉唱を強制すること自体が重大な問題であり、処分にはなじまないものである。

 一部勝訴部分については当然評価されるべきものであるが、その一方でもっと踏み込んで全面勝訴と言える判決が出なかったことについては残念な思いもある。
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