茨城県古河市教育委員会は2012年10月までに、市立中学校で導入している学校選択制を2013年度新入生より廃止する方針を決めた。


 古河市では「特色ある学校づくり」として2008年度に中学校選択制が導入された。隣接学区の学校から選択できる方式だったが、一部の人気校に生徒が集中したことや、地域との関わりが希薄になっていることでの弊害が指摘された。
 古河市では2012年春の市立中学校(9校)入学生約1200人のうち約100人が学校選択制で他学区の中学校に進学し、学校選択制利用生徒のうち65人が特定の中学校に集中したという。
 また東日本大震災の経験から通学路の安全の確保の問題も指摘されたこともあり、見直し・廃止に踏み切った。
 学校選択制は2000年代前半に各地で導入が進んだ。しかし2000年代後半になると弊害が顕著化し、全国的に多くの地域で廃止や見直しが進んでいる。群馬県前橋市・東京都杉並区・東京都新宿区・神奈川県逗子市・長崎県長崎市など、一度導入されたところでも制度を取りやめたり大幅修正したりする例が相次いだ。また神奈川県横浜市のように、教育委員会事務局側が導入を打ち出したものの、議論過程で導入に否定的な意見が強く出て保留されているところもある。
 自由選択を前提とした学校選択制では、学校の特色化どころか、学校を数値の一面的な評価で萎縮させたりした結果格差が出て、人気校でも不人気校でも弊害が出てしまうというのは、各地で指摘されている。
 生徒の自由選択に基づく学校選択制の制度がうまくいかないのは、多くの地域の実例で全国的にも証明されているといえる。弊害が出て廃止に踏み込むという古河市の判断を支持したい。
(参考)
◎中学校選択制廃止へ 古河市教委 一部に人気集中(東京新聞 2012/10/24)
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集