大阪市こども青少年局は10月31日、大阪市立保育所2ヶ所で2012年10月下旬にそれぞれ、乳製品アレルギーを持つ児童に対し、乳製品を材料に含むおやつを誤って提供する事故が相次いだと発表した。


 旭区の保育所で10月26日、天王寺区の保育所で10月30日にそれぞれ事故が発生した。いずれの事故でも、児童は直後にアレルギー症状を発症して一時経過入院したが、現在は回復しているという。
 旭区の保育所では3歳児が病後児保育として、普段通っている保育所とは異なるこの保育所に預けられていた。保護者からアレルギーのことを聞いた保育士が、調理担当職員に食事連絡票(文書メモ)で伝達した。しかし担当職員は牛乳を材料に含んだおやつを誤って作り、保育士らも十分確認しないままに配膳した。
 一方で天王寺区の保育所では、アレルギーを持つ1歳児向けに乳製品を除去したおやつを調理して通常調理のおやつと一緒に保育室に運んだものの、保育士が児童への配膳の際に取り違え、誤って通常のおやつを出した。保育士が配膳している途中に別の児童がぐずりだして配膳が中断された。このクラスは0歳児と1歳児の合同クラスで保育士は3人いたが、配膳を再開した際、保育士らは「早く配膳しなければ」という焦りから十分に確認できず、誤って配膳してしまった。保育士はすぐに取り違えに気づき交換しようとしたが、児童はおやつに手を付けて一口飲み込んでしまっていた。
 児童は症状を発症したものの命に別条はなくすぐに回復したのは幸いであるが、注意していてもこのようなことは起こりうる。ヒューマンエラーは個人の資質の問題だけに帰するものではなく、人間の行動上いつ起きてもおかしくないという視点から対応しなければならない。
 こういう事故を防ぐためには、関係職員の資質の向上に努めるという面ももちろんであるが、複数の目で余裕のある確認体制をとっていけるよう、職員の体制に余裕を持たせていくことも必要ではないだろうか。現場を締めあげて労働条件を悪化させるだけでは、このような事故が増えこそすれ、減ることは考えにくいだろう。
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