石川県加賀市立小学校で低学年当時に同級生9人からいじめを受けPTSDを発症したとして、被害にあった女子児童(現在12歳)が加害者側と加賀市を相手取って訴えていた訴訟で、金沢地裁小松支部は11月9日、いじめでPTSDを発症したことや担任教諭の対応の不十分さを認定し、同級生のうち3人の保護者と市に約703万円の支払いを命じる判決を出した。


 女子児童は小学校1年だった2007年から、同級生から暴言を受けたり、階段から突き落とされるなどのいじめを受け、2年だった2008年に登校できなくなり、PTSDと診断された。また担任教諭は2008年5月頃に被害児童の母親から相談を受けていじめを把握したものの、積極的な対応を取らなかった。
 訴訟では加害者側は「いじめはない」と主張し、加賀市も対応に落ち度はないと争っていた。
 判決ではいじめとPTSD発症との因果関係を明確に認定している。これは同種のいじめ訴訟では珍しい、踏み込んだ判決となっている。しかしその一方で、関与した同級生9人のうち3人しかいじめを認定しなかったことや、後遺障害への評価も限定的なことなど、不十分な点も併せ持っているという。
 判決の画期的な部分を取るのか、それとも不十分な部分についてより踏み込んだ認定を求めるのか、被害者側が控訴するかどうかは当事者の判断となるだろう。しかしその一方で、市や加害者が控訴するのは、被害者をさらに傷つけることになる。
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