産経新聞2012年11月14日付『【大阪の教育は輝くのか(5)】理想と現実… 学校選択制が生む功罪』では、学校選択制についての特集が組まれている。


 大阪市では橋下徹市長の強い意向により、学校選択制が導入されようとしている。しかしその一方で全国的には弊害が目立ち、一度導入した学校選択制を取りやめたり縮小する動きも広まっている。
 学校の教育活動よりも風評や立地条件などで希望者の数が左右され、しかも固定化されていく具体例について紹介されている。一度「荒れた学校」という風評がたつとその風評が固定化されて希望者が少なくなり、生徒が少なくなるとさらに敬遠される。また坂の上にあり交通不便な学校が敬遠され生徒数が減少し部活動などが成り立たなくなる、そのことでさらに敬遠される。そんな事例もあるという。
 また学校の人気がそのまま地域の人気や格差につながりかねないという指摘もある。
 人気校と不人気校の峻別が、地域間格差を生み出す恐れもある。大阪では、学校が選択できない今でも、賃貸住宅などで業者側が特定の小学校区にあることを売りにしているケースがある。不人気校の固定化が、地域の評価にまで影響することも懸念される。

 学校選択制では、その校区内の住宅が「選択の抽選なしで確実に入れる」ことを売りにしてさらに人気となることもありえるだろう、また大阪市での学校選択制は、「不人気校」を口実にした学校統廃合とセットとして検討されている。不人気校とされた地域では学校がなくなってさらに不人気となり、地域社会にも歪みが生まれたり、また地域差別的な事象すら生まれることも懸念される。
 通学距離の問題や通学路の安全の問題などの理由による調整区域を部分的に設定することはありえる。しかし、自由選択を前提とした学校選択制では、学校教育に歪みが出て不都合ではないのだろうか。
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