文部科学省は11月22日、いじめ問題に関する緊急調査の結果を発表した。いじめの認知件数は2012年4月から9月の半年間で14万4054件となり、定例調査での2011年度1年間の認知件数7万231件の2倍以上となった。


 今回の調査は、滋賀県大津市立皇子山中学校いじめ自殺事件を受けて急遽実施されたものである。単純計算すれば、前年比4倍以上のいじめが認知されたことになる。
 生命や身体の安全に関わるような、重大事案につながるおそれのあると判断したいじめは278件あった。
 認知件数が一気に増えたのは、隠れていたいじめが明らかになった側面もあるのだろう。
 また統計の数字の多少以前に、一人一人の児童・生徒にとっては、自分の受けているいじめという個別の事例こそが苦しみを与え、その後の人生にも影を落とすおそれもあるものである。被害者がその後の人生に悪影響を受けるというだけでなく、加害者にとっても適切な指導がされないままになることで「自分の行為は許容されている」と勘違いして、加害者が将来行く先々で同じようなことをして、加害者と接触する機会をもった人が新たな被害者となり、社会的な損失となる恐れもある。
 一つ一つの事例について、早期発見と早期解決こそが求められている。
(参考)
「いじめの問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査」結果について(文部科学省)
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