読売新聞2013年3月2日付によると、橋下徹大阪市長が導入の強い意向を示している市立小・中学校の学校選択制について、市内24区中少なくとも9区が、市長の意向通り2014年度実施を目指す意向を固めたと報じられている。


 大阪市での学校選択制については、24区各行政区ごとに区長が2013年3月末までに実施意向を判断し、教育委員会会議に諮って決定した上で2014年度からの実施を目指すとしている。
 読売新聞の報道によると、2014年度に実施する方針を固めたのは、中央区・福島区など9区。
 一方で2014年度の見送りを固めたのは11区。そのうち、大正・天王寺・阿倍野・住之江・東住吉・平野の少なくとも6区は、2014年度については、入りたい部活動の有無や学校までの距離などの理由で一定条件下で選択できる、指定外就学制度の活用で対応するとしている。東成区・城東区などでは指定外就学制度実施も見送るとした。
 同年度の導入見送りを固めた区では、大阪都構想の進展を見極め、大阪市廃止と近隣行政区の合併・再編によって作られる構想となっている新たな特別区が誕生した時に、改めて導入の可否を検討するとしている。
 現時点で方針を決定していない区も4区あるという。
 他地域では、自由競争・自由選択を前提とした学校選択制によって、地域の噂程度の曖昧な内容・有名校への進学者数や部活動成績など目に見える数値・地理的立地条件・校舎の新しさなどが選択要因となり、人気校と不人気校の格差が広がり固定化される状況をもたらしている。「学校の特色化」を打ち出したものの、実際は特定のものさしで学校が序列化され人気が固定化されることになった。そのため全国的には廃止・大幅縮小などの見直しや、新規導入取りやめなどの流れも生まれている。
 一方で大阪市では、橋下市政になってから、市長や与党の「大阪維新の会」の意向で学校選択制導入が強力にすすめられている。大阪市が各区ごとに開催した学校選択制フォーラムでは反対意見や懸念の声が相次ぎ、市教委の諮問機関の「熟議学校選択制」でも慎重論がまとめられている。
 学校選択制に「賛成」とした意見でも、賛成理由をよく分析してみると「指定外就学制度の柔軟活用」で十分対応できる内容が目立ち、指定外就学制度と学校選択制を混同したまま「賛成」と主張している場合が大半である。橋下・維新が主張するような、自由競争や学校統廃合を前提とした学校選択制導入への賛成意見はほとんどなかった。
 こんな状況のもと、学校選択制導入ありきで話が進められているのは、民意の無視である。
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