文部科学省は3月18日、『体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について』とする通知を、都道府県・政令市教育委員会、および私立学校を管轄する都道府県知事、国立大学附属学校を管轄する大学学長宛に出した。

通知では、いわゆる「体罰」の禁止を打ち出す一方で、違法な「体罰」と許容される懲戒についてそれぞれの事例を具体的に提示している。

読んでみたが、一見すると差し障りの無い表現に見えるものの、暴力を常習する教師にとってはいくらでも抜け道ができるのではないかというような内容だと感じた。2007年に出した当時の通知の欠点がより拡大しているという印象を受ける。

「体罰」については、「個々の事案ごとに判断」「諸条件を客観的に考慮して判断すべき」と指摘している。文面だけ読めば、別になんということもないと思ってもおかしくないのかもしれない。

しかし実際には、「個々の事案ごとに判断」「諸条件を客観的に考慮して判断すべき」という名目で教師側の一方的な主観だけが取り入れられ、生徒が暴力でケガをしたり心身的な後遺症を負っても、問題となった事実関係そのものはあったものの「体罰」でも暴力でもなく正当な指導かのように言い立てるものが後を絶たない。

また「正当防衛・正当行為」についてもいろいろと書いている。これも文面だけ読めば、なんということのない内容と受け取れるかもしれない。しかし実際には、教師が一方的に暴力をふるい、それに生徒が少しでも抵抗したら、暴力加害者のはずの教師が、元々のトラブルの発端となった自らの一方的な暴行は棚に上げ「非もないのに一方的に暴行を受けたことへの正当防衛をおこなった」だの「一方的に暴れる生徒を制止するためやむなく正当行為をおこなった」だのと事実をねじ曲げ、生徒を陥れて二次被害を与える事例もあった。

また「認められる懲戒」に例示されている内容についても、やり方によっては「教師による児童・生徒いじめ」につながる内容も含まれている。肉体的苦痛を与えないと狭く解釈し、仮に狭い意味で直接手を出さなかたっとしても、精神的に追い込んで苦痛を与え、人権侵害といわれる状況を作り出すのではないかと危惧される。

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