埼玉県で小学校教諭が、担任クラスの保護者からクレームを付けられて不眠症になったとして当該保護者を訴えた訴訟で、一審で請求が棄却された教諭は3月14日までに控訴断念を決めた。

 この問題では、教諭が児童に対して、いじめまがいのつるしあげといえるような「指導」をおこなったことが問題の発端となっている。それに抗議した保護者に対し、逆に「モンスターペアレンツ」のレッテルを貼って攻撃したから事態がこじれる形になっている。

 教諭の主張は最初から無理筋であり、スラップといえるものである。控訴断念は当然であろう。

※スラップ(SLAPP):権力を持つ者・大きな組織力や資金力のある者などが、意に沿わない内容の主張をする個人に標的を定め、相手が権力を持っていない・もしくは組織力や資金力で大きく劣る比較弱者であることを見越して、彼らにとって気に入らない言論を封じ込める恫喝や気に入らない相手への嫌がらせを目的にした訴訟のこと。

 一方で保護者は、行き過ぎたクレームにならないように配慮しながら抗議していたにもかかわらず「不法行為とまでは言えないが、一部行き過ぎた行為があった」と認定されるなどの不十分な点もあった。

 不十分な点を悪用される危険性はあるが、それでもこういうスラップが退けられたという面は前向きに評価し、「自分の意に沿わないものはモンスターペアレント」と居直って恫喝するような行為は社会的に許されないという風潮を作らなければならない。

(参考)
◎女性教諭の「クレーム不眠症」訴訟、控訴を断念(読売新聞 2013/3/14)
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