大阪市教育委員会は3月22日、市立小・中学校の学校選択制について、淀川区で2014年度より導入することを正式に承認した。導入の正式決定は市内24区で初めてとなる。2014年度導入を内定している残る11区についても、市教委として3月中に承認し正式決定する見通しとなっている。


 淀川区では入学時と区外から転入した場合のみ選択でき、校区の学校と隣接校区の学校から選択できる隣接校区選択制とする。また、きょうだいがすでに通学している学校の選択についても優先措置をとる。本来の校区の学校には必ず入学できる措置をとる。
 淀川区では大阪市で最初に、市教委主催の学校選択制のフォーラムがおこなわれた地域でもあるが、「ある学校と隣の学校の教育内容が大きく違うと困る」「通学上の安全は」など反対意見も相次いでいた。またアンケート用紙でも反対意見が目立っていた。
 榊正文淀川区長は「選択制で、教育力の向上と子どもの権利拡大を図る」などと話しているという。しかし、学校選択制と教育力の向上や子どもの権利向上は直接関係ない。現状でも教育力向上や子どもの権利拡大のために大半の関係者は努力しているのではないか。教育力向上や子どもの権利が拡大するためには学校選択制でなければならないという因果関係は不明である。
 むしろ「選ばれる学校」を目指すことで、学校の評判が落ちるような不都合なことが隠蔽されるというのは、学校選択制(隣接区域選択制)をとっている大津市立中学校でいじめ自殺事件が起き、ひどい隠蔽がおこなわれたという事例を思い出してしまう。
 また万が一いじめや「体罰」などにあっても「その学校を選んだものが悪い」と理不尽な責任転嫁をされる危険性もはらんでいる。
 まず学校選択制先にありきの措置では、混乱を巻き起こすだけではないか。全国的には学校選択制の不具合が明らかになり、廃止や大幅縮小に踏み出した自治体も近年目立っている。他地域の実例に学ぶべきではないだろうか。
(参考)
◎学校選択制:大阪市内で初、淀川区が決定 14年度の小中新入生から /大阪(毎日新聞 2013/3/23)
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