秋田県の認可保育所で2010年、担任だった女性保育士から虐待を受けたとして、当時1歳だった2園児それぞれ保護者が2012年4月に傷害や暴行の容疑で保育士を刑事告訴していた問題で、秋田地検が2013年3月28日付で保育士を不起訴処分にしていたことがわかった。


 男児は2010年4月から1年間、トイレに閉じ込められるなどの虐待を受けたとされ、極度のかんしゃくや排便・睡眠障害などを発症したという。また女児は2010年7月以降、部屋に閉じ込められるなどしたとされる。
 2012年刑事告訴当時の報道によると、別の保育士が保護者に話して事実関係が発覚したことが指摘されている。同僚保育士によると、問題の保育士はこの他にも、体にあざができるほど強く押さえつけたり、嫌いな食べ物を無理やり食べさせるなどの虐待行為を繰り返していたとも指摘された。
 不起訴の理由としては「暴行の事実を立証するのが困難と判断した」とされる。被害者が1歳児で被害状況の解明が困難という、刑事事件の捜査手法の隙間に入り込む形で、望まれないような結果となってしまった。しかし、虐待がなければ1歳児がこのような症状を発症するとも考えにくい。また同僚保育士の目撃証言もある。このようなことでいいのだろうか。
 「疑わしきは被告人の利益に」というのは刑事事件の原則だとはいえども、被害者が証言困難な弱い立場であることをいいことに、悪質な行為をおこなったことがほぼ確実でありながらも法的には処分できない。こういう事件はこれまでにも、子どもや知的障害者・意思疎通が困難な状態になった重病人などが被害者となった事件ではよくあったとはいえども、また発生したのかと思うとつらくなる。
(参考)
◎元保育士体罰:容疑不十分で不起訴 /秋田(毎日新聞 2013/3/30)
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