中学校社会科公民教科書採択問題で揺れている沖縄県竹富町で4月8日に始業式があり、町は学校を通じて、町教委が採択した東京書籍版教科書を町立中学校の3年生(9校31人)に配布した。


 この問題は、竹富町などで作る沖縄県八重山教科書採択地区協議会が、「つくる会」系一部採択委員が一方的に規約変更や委員大幅差し替えなどをおこなう強引な行動によって、育鵬社版教科書を採択答申したことに始まる。育鵬社版教科書には、民主主義軽視など記述に著しい問題が指摘されている。
 八重山教科書地区を構成する3自治体のうち2自治体では答申通り育鵬社版教科書を採択したが、竹富町では前期でも使用していた東京書籍版の継続採択を決めた。
 文部科学省は同一採択地区で同一教科書を採択するとした教科書無償措置法を根拠に、竹富町の東京書籍版教科書には予算を付けなかった。また文部科学省の行動を背景に、ほかの2自治体は竹富町との協議に応じていない。
 竹富町は「東京書籍版教科書を町費で有償購入することも文部科学省の圧力を受け入れたことになる」として、有志からの寄贈の形で教科書を配布した。
 また竹富町は、地方教育行政法では教育委員会に採択権限があると指摘し、教科書無償措置法との整合性を指摘している。
 教科書採択は学校現場の意向がまず尊重されるべきである。採択区域についても、文部科学省でさえ将来的な細分化を打ち出している。しかし「つくる会」教科書ありきで脱法的な行為を行なって強引に押し付けようとするのは、おかしいのではないか。
(参考)
◎竹富町:公民教科書、東京書籍版を配布 採択権の正当性主張 /沖縄(琉球新報 2013/4/9)
◎論戦ハイライト 沖縄・八重山の教科書採択への介入 赤嶺議員が追及 衆院予算委 市町村教育委の採択権を侵害 直ちにやめよと要求(しんぶん赤旗 2013/4/9)
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