大阪府教育委員会は4月16日、「4月8日に実施された府立高校の入学式で、司会進行担当の教諭が君が代を歌っていなかった」として当該教諭を口頭注意していたことを発表した。来賓が教諭の口元に気付いて校長に通報したという。

 当該教諭は「君が代」斉唱時には起立していたものの、口が動いていなかったとして通報があった。

 そもそも入学式の意義は何なのだろうか。歴史的な背景や歌詞の内容からも意見が分かれる「君が代」を一方的に強制しようと躍起になるような場所ではない。新入生の入学を祝う学校行事のはずである。

 「新入生を歓迎しこれからの学校生活の始まりとする」という行事の目的を考えると、起立や斉唱などについては強制せずに各個人の判断にゆだねるという方向で、自ずから答えが見えてくるものである。

 教師の口元をチェックしたり、来賓が密告したリするなど、入学式の目的をはき違えているとしか考えられない。

 自らも府立和泉高校校長時代に教師の口元チェックをした「実績」がある中原徹大阪府教育長は「職務命令を守る気がなかったと言われても社会通念上、仕方がない。府民をばかにした態度だ」などと述べて、起立斉唱の基準を策定する意向を示したという。しかし「馬鹿にしている」のはどっちなのだろうかと疑問に思わざるを得ない。

(参考)
◎君が代不斉唱と来賓通報、大阪 入学式司会の教諭(共同通信 2013/4/16)
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