神奈川県教育委員会が、県立高校で来年度開講予定の日本史の授業で、実教出版の教科書「高校日本史A」「高校日本史B」を採択する意向を示した県立高校28校の校長に対し「一部記述が県教委の方針と相いれない」などと再考を促す圧力をかけていたことがわかった。


 神奈川県教委は当該教科書に、国旗国歌法での日の丸・君が代の扱いについて「一部の自治体に強制の動きがある」という記述があることを敵視した。7月24日に校長会が開催されたが、当該校の校長を残して「学習指導要領に基づくもので『強制』は行き過ぎている」「公開の教育委員会議で不採択になる可能性もあり、学校名が公になって混乱を招く」などと迫った。
 神奈川県教委では前日7月23日の教育委員協議会で、実教出版教科書の採択に否定的な教育委員の意見が相次ぎ、事務局を通じて校長に説明することにしたという。
 この問題では、東京都教育委員会が2012年以降、同じ箇所を問題視し、採択の意向を示した学校に個別に電話するなど圧力をかけ、採択内定を変更させている。2013年には文書として圧力をかけている。また大阪府教育委員会でも、実教出版の教科書を名指しして「不適切」などとする見解を出した文書を送付した。
 一部の自治体で日の丸・君が代の強制があるというのは、紛れもない客観的事実でしかない。職務命令や懲戒処分などで日の丸掲揚・君が代起立斉唱を義務付ける行為は、強制というほかはない。行き過ぎているのは教科書の記述ではなく、国旗・国歌法でも「強制はふさわしくない」と明確に示した政府答弁を無視し、強制し続けているような一部教育委員会のほうである。
(参考)
◎神奈川県教委も教科書選び介入 実教出版使用、再考迫る(朝日新聞 2013/7/28)
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