神奈川県小田原市立中学校で2013年3月、特別支援学級の担任教諭が当時2年の男子生徒に、書写の指導で毛筆で「安分守己」と書かせていたことがわかった。保護者からの問い合わせに対し、学校側は言い訳と取れる対応に終始しているという。

生徒は言葉の遅れや自閉傾向があるという。この生徒は2013年3月、帰宅後「安分守己」と書かれた短冊を手に、「先生に書かされた」と保護者に訴えたという。

この四字熟語は「自分の身の程をわきまえて生き、高望みしないこと」(三省堂「新明解四字熟語辞典」)を意味する。

保護者が学校側に問い合わせたところ、この単語を書かせた理由について納得できるような回答は得られていないという。

一方で学校側は「担任が毛筆の指導で書かせた。できるだけ画数の少ない四字熟語をインターネットで調べたもので、その時点で意味は知らなかったようだ」「保護者を批判するなど深い意図はなかった」(校長)と、毎日新聞の取材に対して述べている。

あと付けの言い訳としか感じない。担任が意味を知らないような単語を適当に書かせるような「指導」は、通常は考えられない。インターネットで単語を拾ってきたとしても、インターネット上で四字熟語を集めたサイトは、たいてい意味の解説が付いているし、紙の辞書でも調べ直せることができる。

また生徒が「書かされた」と保護者に訴えていることは、記事では明確に触れられていないとはいえども、生徒が教師から何らかの屈辱的な言動を受けた可能性もうかがわれる。保護者側の問い合わせにも明確な回答が得られないということは、障害児差別的な思考があって意図的にしたと不審感を持たれてもやむをえないだろう。

(参考)
◎神奈川・小田原の中学校:毛筆で四字熟語「身の程わきまえ」支援学級生徒に書かす(毎日新聞 2013/7/31)

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