毎日新聞が2013年8月20日付社説で、島根県松江市教育委員会の『はだしのゲン』閉架指示問題について触れている。


 『社説:はだしのゲン 戦争知る貴重な作品だ』とする社説では、事件の経過について触れた上で、松江市教委の対応を主に平和学習・戦争体験継承の観点から批判している。
 同紙では以下のように指摘している。
 戦争の恐ろしさを知り、平和の尊さを学ぶことは教育の中でも非常に重要な要素だ。平和教育を推進すべき教育委員会がそれを閉ざす対応をとったことには問題があり、撤回すべきだ。また、今回の措置は教育委員が出席する会議には報告していないというが、学校現場の校長らも含めてしっかり議論すべきだろう。
 全く同感である。また、『はだしのゲン』の学校図書室からの撤去を求める陳情が市議会に出されたとして、否決されたにもかかわらず、市議会事務局が独断で対処したのも問題であろう。
 また記事では、以下のように指摘している。
 作品に残酷な描写があるのは、戦争や原爆そのものが残酷であり、それを表現しているからだ。行き過ぎた規制は表現の自由を侵す恐れがあるだけでなく、子供たちが考える機会を奪うことにもなる。今回のような規制が前例となってはならない。
 同意である。平和教育・平和学習では「残酷な描写を強調する」という批判や反発もないわけではない。しかしそれは、「触れない」ことで乗り越えるのではなく、教材としての扱いを工夫していくことで乗り越えていくべきものである。
 またこの問題は平和学習だけにとどまらず、図書館運営・知る権利・表現の自由といった分野にも関わってくる。民主主義そのものが問われているといえよう。
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