大阪府教育委員会は8月30日の教育委員会議で、府立高校の教科書採択を決めた。国旗国歌法について「一部の自治体に強制の動きがある」とする記述があることで、大阪維新の会大阪府議団がこの記述を敵視して採択除外を求める申し入れをおこっていた実教出版の日本史教科書については、同社教科書を希望した8校での採択は希望通り認めたが、府教委が「疑義がある」とした部分について学校に指導するという条件をつけた。


 このような条件付きでの採択は、自民党など右派議員による議員連盟が同様の圧力をかけた埼玉県に次ぐ措置となっている。採択取り消しの最悪の状況は辛うじて逃れたものの、他の教科書にはないような条件が付けられたことで、予断を許さないという印象を受ける。
 教育委員会会議では、維新議員団の申し入れで政治的に曲げられたという疑義が残るのは好ましくない、学校の選択や自主性を尊重すべきなどとする意見が、複数の委員から相次いで出された。
 しかし、橋下徹大阪維新の会代表(大阪市長)の友人であり、そのつながりで大阪府立高校民間人校長を経て現職についた中原徹教育長が「記述に偏りや疑義があるなら修正して教えるべきだ」と主張したことで、学校側に指導するという条件をつけることにした。
 そもそも「強制」は事実であり、何の偏りも疑義もない。むしろこれを問題視する事こそに疑義があるといえるだろう。採択された事自体は望ましいことではあるが、今後は不当な条件を撤回・撤廃する取り組みも必要となってくるといえる。
(参考)
大阪府、実教出版教科書を採択 「疑義部分の指導」条件(共同通信 2013/8/30)
◎大阪府教委:「実教」高校歴史教科書、条件付きで採択(毎日新聞 2013/8/30)
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