「新しい歴史教科書をつくる会」が9月11日、『はだしのゲン』は学習指導要領に違反していると主張し、学校現場からの撤去を求めて文部科学省に要請した。産経新聞が報じている。


 同会は、『はだしのゲン』に天皇批判の記述があると主張して、「天皇についての理解と敬愛の念を育てると明記した学習指導要領に反している」とした。また「君が代なんか国歌じゃないわい」というセリフがあるとして、「国旗国歌法で規定された君が代の指導を明記した学習指導要領に反する」などと主張した。
 ためにする言いがかりであるとしか言いようがない。2013年8月に問題になった島根県松江市などでの『はだしのゲン』撤去問題に続き、同書を敵視する勢力の背景を自ら明らかにしているような行動である。
 そもそも個人の内面に属する「敬愛の念」を強制する学習指導要領自体が憲法に抵触する可能性があり、おかしなことである。また国旗国歌法では「強制は望ましくない」としていて、また学習指導要領でも学校行事は生徒の自主性を尊重して運営することが求められている。君が代「指導」と称した強制こそが、学習指導要領とも矛盾し、憲法違反の可能性がある。
 さらに、自分たちの主張と相いれないとみなした特定の表現物をこのような形で排除しようとすること自体、学校教育だけの問題にとどまらず、言論や表現の問題として重大な問題になる。
(参考)
◎「ゲン」は学校教育法違反 つくる会が文科相に撤去要請(産経新聞 2013/9/11)
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