埼玉県議会は10月11日、高校日本史教科書について、埼玉県教委が8校で実教出版を採択したことをめぐり、採択の再審査を求める決議を賛成多数で採択した。


 自民党と「刷新の会」の議員12人が連名で提出した。
 提案理由は「県教委は現場(学校)の判断を尊重し、採決の判断を主体的に行わなかった」などとなっているという。しかし学校の判断を尊重することの何が問題なのであろうか。
 実教出版の教科書は、平易な記述で貫かれているなど、取り立てて問題となるようなものはない。しかし一部の右派にとっては意に沿わないとして敵視する記述があるようである。国旗国歌法に関連して「一部の自治体では強制の動きがある」とする記述に、あちこちの教育委員会や右派議員が噛み付いている。他にも「問題」として槍玉に挙げている箇所もあるようである。
 しかしこれらの記述は、客観的記述に過ぎず、書き手の私的見解が入っているようなものではない。不都合なことをしているものが、この記述では自分のしていることを間接的に非難されていると勝手に思い込んで槍玉に挙げているという性格のものだと言っても差し支えない。
 埼玉県教委は今回の教科書採択については「変更しない」としている。しかし次回採択以降は、政治的圧力としてはたらく恐れも考えられる。政治的圧力を未然に防いでいかなければならない。
(参考)
◎実教出版の教科書採択問題 県議会、再審査を要求(東京新聞 2013/10/12)
◎県教委、教科書採択維持へ(朝日新聞 2013/10/12)
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