下村博文文部科学大臣は10月22日、大阪市教委が全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の学校別成績を原則公表するよう市立小中学校に義務付けたことについて、テストの実施要領に違反しているという認識を示した。

 全国学力テストについては元々、学校間競争を図るために導入された経緯がある。しかし学校関係者や保護者の世論の反発を受け、文部科学省ですら都道府県別成績は公表するが、それ以下の区分での公表はできないという見解を出さざるを得なくなった。

 実際にテストが導入されると、都道府県別成績の公表ですら、「わが〇〇県は全国何位で、全国平均と比べて県の平均点が上か下か」という、誤った一面的な尺度での扱いが目立つ。

 さらに、元々が学校間成績公表を目指していたものだから、そういう勢力が抜け穴を突こうとしたり、もしくは強引に突破を図ろうとする形で、自治体別・学校別成績を公表させようという動きも、全国各地で進んでいる。

 本来なら一度のテストの平均点という一面的な尺度で測れるようなものではないが、点数がひとり歩きした上に、点数が学校組織や校区地域の「格」と安易に結び付けられるという問題も発生している。

 大阪市では学校選択制の導入構想と相まって、テストの点数で一面的に評価され、地域間・学校間の競争が起きて混乱が起きることが予想される。学校の平均点ではなく、ひとりひとりの到達状況こそが重要という原点に帰らなければならない。

(参考)
◎学力テスト:学校別成績公表はルール「逸脱」 下村文科相(毎日新聞 2013/10/22)
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