NHKニュースweb特集『学力テスト誰がどう公表するのか』。全国学力テストの成績公表の問題について論じている。


 学力テストの学校別平均点公表については、文部科学省でさえ表向きには慎重にならざるを得なくなった。とはいえども 元々の導入経緯が学校間競争と序列化だったことから、実際には公表したがる勢力の動きも強く、予断を許さない状況となっている。
 成績上位校の校長名の公表という形で、ほとんど屁理屈レベルの抜け穴を編み出して強引に成績を公表した静岡県では、「自分たちの校長の名前がないのを見た児童が『成績が悪くてごめんなさい』と校長室に謝りに来たという話もある」ということも報告されている。
 校長の氏名は学校のウェブサイトや人事異動の新聞記事などでも公表されるのが常であり、校長氏名がわかればその校長の勤務校を特定することは容易である。児童生徒や教職員だけでなく、特に学校と接点のない住民でも特定可能な内容である。
 また1956年より実施されていた全国学力調査は、学校別成績公表やそれに伴う不正などが顕在化して中止されたという経緯がある。

学力テストの学校ごとの結果を一律に公表することが専門家などの間で問題視されているのは、過去に過度な競争を呼んだ事例があるためです。
文部科学省によりますと、昭和31年に「全国学力調査」というテストが、小学6年生と中学3年生、それに高校3年生を対象に始まりました。
当時、国は学校や都道府県の具体的な結果は一切公表しないと決めていました。
ところが、今回の有識者会議の座長で学校法人「奈良学園」の梶田叡一理事によりますと、学校や地域ごとの結果が流出し、報道されるなどして競争が激しくなったといいます。
成績が低い地域から高い地域へ越境入学するケースが相次いだほか、成績の振るわない子どもをテスト当日に休ませるなどの不正があったということです。
こうした事態を受けて「全国学力調査」は11年で打ち切られました。

 現行の全国学力テストでも、これに近い事例が報告されている。障害児など成績の振るわないと見込まれる子どもの採点を意図的に除外する、試験監督を務める教師が児童生徒に対して誤答に気づかせるような合図を送る、などがあった。また成績の振るわなかった学校の生徒が、学習塾や部活動の対外試合などで他校の生徒と一緒になった時に、テストの成績を理由にからかわれたなどの事例も報告された。
 現在起きている現象自体が「過度の競争と序列化」を示すものである。
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