兵庫県三木市立小学校で被虐待児が保護され、三木市議と当時の校長の不適切な行動が原因で、保護に関与した養護教諭の情報が虐待加害者の父親に漏れた事件があった。


養護教諭は父親からの逆恨みまがいの行動が原因で休職・自殺に追い込まれた。
 この事件に絡み、保護に関与した養護教諭の情報を虐待加害者の父親に漏らしたのは重大な過失として、三木市が養護教諭の遺族に支払った損害賠償金相当額を当該市議と校長に求償した民事訴訟で、神戸地裁は11月29日、市議と校長に約120万円を市に支払うよう命じる判決を出した。
 事件は2007年に発生した。三木市立小学校に通っていた児童の異変に同校の教諭らが気づいて児童相談所に通報し、当該児童は保護された。
 しかし虐待加害者の父親は三木市議に相談。市議は校長に連絡を取り、校長は「養護教諭が関与した」と情報を漏らした。市議は父親にその情報を伝えた。
 父親はその後、養護教諭との面会を執拗に求めるような脅迫めいた言動を取るなどした。養護教諭は父親と直接接触することはなかったものの、恐怖感から体調を崩して休職した。父親は養護教諭の休職後も、学校や教育委員会に対して、養護教諭の動向を照会しようとする電話を繰り返しかけていた。
 養護教諭はその後自殺し、遺族は三木市を相手取って提訴していた。訴訟では市議と校長の責任を認め、三木市に損害賠償を命じる判決が2012年4月に出た。三木市は市から支払った賠償金相当額を求償するために提訴していた。
 市議と校長の行為は、児童虐待防止法の趣旨から逸脱するような、極めて重大な過失だといえる。求償が認められたのは当然であり、すみやかに支払うべきであろう。また、このようなことが再び起こらないような体制も取らなければならない。
(参考)
◎情報漏えいの三木市議らに120万円支払い命令 地裁(神戸新聞 2013/11/29)
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