橋下徹大阪市長が「大阪市立保育所の保育士の給与は高すぎる」と批判していたことに関連して、大阪市人事委員会は12月25日、市立保育所の保育士の給与について、行政職とは異なる水準の給与体系にするよう検討するべきとする答申をまとめた。


 橋下市長はこれを受け、「保育士の給与は民間より高い」として、民間の給与体系に近づける形に引き下げて、行政職より低い水準の給与表を作る方針を表明した。
 保育のことを全く理解していない戯言である。市立保育所の給与が高過ぎるのではなく、民間の給与が低すぎるのである。保育士給与の低さが主要な原因で、保育士が離職して保育以外の分野に転職したり、元々保育士志望で学校で保育士資格をとった学生が他の進路を選んだりする事例も相次いでいることが指摘されている。
 生活が成り立たなくなるほど給与が低いのでは、いくら本人にやる気や献身性があってもやむなく断念せさるを得ない人が続出したり、保育条件の低下にもつながっていく。しわ寄せは子どもたちにくることになる。
 公立として一定の給与体系や労働条件を示すことで、私立も含めた「業界」の模範とし、私立の体系も公立並みに引き上げなければならない。逆に、公立が給与削減をするのなら、私立でもという賃下げのスパイラルにもなりかねない。
(参考)
◎大阪市人事委員会 保育士の給与体系見直しを(毎日放送 2013/12/25)
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