『河北新報』が東日本大震災の被災地の宮城県沿岸部11市町(仙台市は沿岸部の2区のみ)245校の小中学校の校長に実施したアンケート調査で、自校の児童・生徒の震災の影響とみられる症状が現在もあると感じていると回答した校長が約7割にものぼることがわかった。同紙2014年1月1日付『「児童に震災影響」7割 宮城県沿岸小中 本社アンケート』が報じている。

 震災の影響と思われる具体的な問題については、「家計が苦しい児童・生徒が増えている」「家庭学習の場を確保できない」「家庭内の問題で精神的ストレスを抱えている」「精神面で不安定」「体力の低下」「学力の低下」などがあげられている。

 震災被災による避難生活や、保護者の死亡や失業など家計の急変などの環境の変化とそれに伴い保護者も精神的に追い込まれていることなどが、子どもたちの生活にも影を落としている実情が浮かび上がる。

 被災児童の心の問題はこれからも顕在化し、続いていくと思われる。阪神・淡路大震災の時も、震災直前の1994年度生まれの子どもが中学校を卒業するまで15年間統計をとってきたが、被災3年目頃に心の問題が顕在化し、震災後に生まれた世代が増えるに従って症状を訴える子どもの絶対数こそ減ったものの、一部には深刻な症状を残した子どもが15年後にもいた。

 東日本大震災でも息の長い取り組みになってくる。これは単に教育分野や子どもの心理だけの問題にかぎらず、住宅・雇用・社会環境なども含めた震災復興として取り組む必要があるだろう。
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