沖縄県八重山地区の教科書問題で、政府・文部科学省が竹富町に対して育鵬社版の中学校社会科公民的分野を押し付けるために「是正要求」を出したことについて、竹富町教育委員会は4月11日、教科書は変更せずに引き続き東京書籍を使用するとした上で、不服審査申立をしないことを決めた。


 不服審査申し立てをすると、申し立てに必要な準備書面の作成などで膨大な手間が割かれ、通常の教育行政に影響が出ると判断した。また不服審査にあたる第三者機関の委員が総務省任命であり、国に有利な展開になることも危惧した。
 是正要求に従わない場合、国は法律上は違法確認訴訟を提起することもできる。しかしその一方で竹富町と沖縄県は教科書採択地区の分割を検討しており、竹富町が単独採択になれば国が訴訟を起こす理由がなくなると指摘している。
 そもそも違法ではない竹富町の判断に対して、政府・文科省が一方的に「違法」と難癖をつけて教育介入しているというのが、今回の教科書問題の経過である。その土俵に乗らずに対処するという竹富町の手法は、よく考えられた選択肢だといえる。
(参考)
◎竹富町、国の是正要求に不服申し立てず 教科書変更なし(朝日新聞 2014/4/11)
◎中学公民教科書:竹富町教委、審査申し立てせず(毎日新聞 2014/4/11)
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