青森県立青森高校で、1年生281人の机の上に「教育勅語」の原文を印刷した紙が配付されていたことがわかった。配布した人物が何者か、また配布の意図はわかっていない。

 4月14日朝7時過ぎ、校内巡視をしていた教頭が、1年生の教室で全員の机の上に紙が置かれていたことを目撃した。教頭は遠目で見て「朝自習用の資料」と思い込んで、特に気にしなかったという。

 朝8時20分頃に学年主任に確認すると、自習用の資料ではないと判明し、確認するとそのプリントには「教育勅語」の原文が縦書で記され、最後に「平成二十六年四月十四日」と日付が入っていたという。

 学校側は青森県教委に連絡した上で、「特に生徒に危害を与える文書ではない」と判断して回収などはしなかった。

 学校側によると、前日4月13日は日曜日だったが、生徒の模擬試験受験のために玄関を開放していた。当日も午前6時過ぎから玄関を開けていた。

 実行した人物が内部の人物の可能性も、また外部の人物の可能性も、両方考えられる。しかしいずれにしても、「教育勅語」を支持する勢力による何らかの政治的アピールの可能性もあり、気持ち悪いことこの上ない。

 「教育勅語」の内容は、非常時には天皇のために尽くせとする徳目を説いたというのが本質である。徳目が現代でも通用するかのように言い立てる者もいるが、徳目を並べてもそれはすべて天皇・国のために犠牲になれというためのものである。明らかな軍国主義的内容であり、終戦直後に衆参両院で、教育勅語の失効の確認、及び教育勅語の理念を認めないとする決議を出している。

 最近、所在不明になっていた「教育勅語」の原本が文部科学省の保管庫にあったことが確認されたというニュースが流れた。それを受けて下村博文文部科学大臣などが教育勅語に肯定的なコメントも出している。そういう動きに触発されて呼応したものだったら、極めて気持ち悪いことである。

(参考)
◎誰が何のために? 青森高校1年生281人全員の机の上に「教育勅語」(東奥日報 2014/4/16)
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