橋下徹大阪市長の強い意向で導入された大阪市立小中学校の学校選択制について、2015年には浪速区を除く23区に広がることが、5月8日の教育委員会会議で承認された。

 学校選択制の導入は24行政区各区ごとに判断するとしていた。一方で反対意見も強く、2014年度に導入したのは小学校6区・中学校12区となった。

 2015年度には、中学校は浪速区を除く23区、小学校は浪速・北・生野の3区を除く21区での導入となった。なお、生野区の中学校の選択制は、区の東部の5中学校のみ先行実施となった。

 学校選択制を唯一見送った浪速区では、区内のすべての小中学校が小規模校となっていることから、学校統廃合の取り組みを優先させるとしている。

 学校選択制については、学力テストの成績が良いとみなされた学校や交通の便のいい学校などに人気が集中し、人気校と不人気校の格差ができることが、各地で指摘された。他地域では、不人気校では生徒減少に伴って教員も減らされ、すべての教科の教師が配置できなくなったり、希望の部活動が開講できなくなったりなどの条件悪化を招き、それがさらに敬遠される負のスパイラルに陥った事例も報告されている。

 学校選択制の導入は2000年代前半に「流行」となったが、他地域ではわずか数年で弊害が明らかになり、2000年代後半頃から学校選択制の廃止や見直しの方向へとかじを切った自治体が続出している。

 他地域で軒並み失敗しているのに、大阪市で成功するような特殊な地域事情があるとは思えない。学力テストの学校別成績公表方針などとも組み合わさり、他地域で起きたことの二の舞いになるのではないのだろうか。

(参考)
◎学校選択制:浪速を除く23区で実施 /大阪(毎日新聞 2014/5/9)
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