神奈川県川崎市教育委員会は8月17日に教育委員会臨時会を開き、市立高校5校で2015年度に使用する教科書を採択した。うち2校が実教出版の「日本史A」の採択を希望したものの、市教委は採択を拒否し、実教出版を候補から除外した上で希望申請を出し直すよう当該校に求めた。

 日本史科目で他社の教科書を採択した学校、および他教科・科目については、学校側の希望申請の通りに認められたという。

 実教出版の当該教科書については、国旗国歌法での日の丸・君が代の記述について「一部の自治体で強制の動きがある」という記述がある。この記述は、事実に基づく客観的記述以上のものはない。しかし、入学式や卒業式で日の丸掲揚や君が代斉唱を強制している一部教育委員会がこの記述に過剰反応し、当該教科書を採択させないような妨害策動が、各地で生まれている。

 例えば、神奈川県教育委員会や横浜市教育委員会、東京都教育委員会などで、この教科書の採択を希望した高校に対して、教育委員会会議で採択を認めない、学校側に再考を求める圧力をかけるなど、採択妨害の状況が生まれた。また大阪府や埼玉県では、府議会・県議会の極右的な一部会派が、教育委員会に対してこの教科書を採択させないように圧力をかける状況も生まれた。

 川崎市でもこのような状況が波及したことになる。このような状況は正常とはいえない。生徒の状況を一番身近で把握している学校現場の判断こそが、重視される必要がある。

(参考)
◎川崎市教委が実教教科書を不採択(神奈川新聞 2014/8/19)
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