実教出版の高校日本史教科書について、新潟県立高校少なくとも11校で、校長の介入によってこの教科書の採択希望が拒否され、別の教科書へと変更させられていたことがわかった。

 新潟県歴史教育者協議会(新潟県歴教協)と新潟県公立高校教職員組合(公立高教組)が8月27日に新潟市で記者会見し、このことを明らかにした上で、「正常な形で教科書の選定をやり直すよう求める」などとする抗議声明を発表した。

 高校教科書の採択については、教科担当教員が校内で希望をあげた上で校長が各教科分を取りまとめて教育委員会に申請し、教育委員会会議で採択することになっている。形式的には教育委員会が採択しているが、実質的には学校側の希望申請を追認する形となっている。

 採択希望への介入は、現場の教員からの相談で発覚したという。両団体のまとめによると、教科担当教員が実教出版教科書を採択希望したにもかかわらず校長が強制的に変更させたのが少なくとも7校、校長が別の教科書に変更するよう教科担当教員に働きかけをおこなったのが少なくとも4校あったという。

 校長からは、国旗国歌法の記述などを問題視するような発言があったとされる。このことについて、「校長が各自の見識に基づいて指示したとは考えにくい。外部からの圧力が感じられる」(原直史新潟大学人文学部教授・県歴教協会長)と指摘している。

 実教出版の日本史教科書を採択させないようにする動きは、東京都・神奈川県・横浜市・川崎市・埼玉県や大阪府など、各地で発生している。今回、新潟県でも新たに問題が発覚したことになる。

 いずれも、特定の記述を敵視し、学校側の採択希望を無視してまで事前に特定教科書の排除を図ろうとするようなものである。しかし実教出版の教科書の記述は、客観的事実でしかないことは明らかである。また教科書検定を通過して政府が教科用図書として認定したものを、教育委員会が排除にかかるのも問題ではないのだろうか。

(参考)
◎特定日本史教科書を拒否 公立高教組などが会見(新潟日報 2014/8/27)
◎「高校日本史教科書の不当な採択排除に抗議する(声明)」 新潟県公立高等学校教職員組合本部執行委員会
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