2011年度より公立小学校の1年生で導入された35人学級について、財務省の財政制度等審議会が「いじめや不登校などの目立った改善は見られない」などとして、従来の40人学級に戻すよう求める方針を示した。

 40人学級に戻すことで教職員約4000人と、年間約86億円の義務教育国庫負担の削減が見込めるという。

 導入後2年間でのいじめや不登校の発生数値には、統計上有用な差はみられないことも事実である。しかしこれを理由に、少人数学級には効果がないと結論付けるのは、きわめて短絡的である。

 いじめや不登校の数値については、数値が教職員・学校への評価と短絡的に結び付けられれば、隠すことで数値を減少させることもある。また逆に、きめ細かい対応をすることで埋もれていた事案を掘り起こした結果統計上の数値が上昇することもあり、統計数値を過剰に絶対視すると好ましくないことも起きることになる。

 むしろ少人数学級の効果が十分ではないからこそ、さらなる少人数学級化を進めてよりきめ細かい教育をおこなっていくべきという分析になるのではないか。他国では20人学級~25人学級程度が世界標準となっている。35人学級は、日本の従来の水準と比べれば大きな前進ではあるが、それでも世界的な基準には届いていない。

 また教職員の負担感も他国と比較して強いという調査結果が出ていて、少人数学級によって教員定数も増やすことで教職員の多忙感も緩和され、より良い形で子どもに向き合えるのではないか。

 文科省は財務省の方針に否定的で、35人学級の維持と小学校全学年への拡大を求めていくという。35人学級は維持し、また拡大していかなければならないだろう。
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集