従軍慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者を非常勤講師として採用したとして、北星学園大学(北海道札幌市)が「爆弾を仕掛ける」「学生に危害を加える」などと脅迫を受けた問題に関連して、学長が学内会議で、警備面での費用・人手の負担を理由に、この講師の契約を解消することも検討すると学内会議で意向を表明していたことがわかった。


 学長はマスコミ取材に対して「今は答えられない」「契約解消が決定したわけではない。理事会での手続きを経て検討する」などとしている。

 関係者によると、学長の発言は10月29日の学内会議でおこなわれたという。警備など問題に対応する人員や財政の負担が大きくなっていることや、来年度の入学試験が無事におこなえるかどうかがあると理由をあげたという。

 学長発言が事実だとすれば、このような理由での契約解消は、テロに屈したともみなされかねず、強い危惧を覚える。この問題は大学の自治、学問の自由に関わる問題である。事件とは無関係の別の理由があるのならともかく、脅迫に屈したともとれる内容で契約解消をおこなうのはまずいのではないか。

 この事件は大学の問題だけにとどまらず、同時に日本社会全体に向けられたテロでもある。「自分の意に沿わない意見を主張する相手に対しては、犯罪的な手段を使ってでも恫喝して言論を封じたり、言いなりにさせればいい」という誤ったメッセージが広まるのは、好ましくない。

(参考)
◎脅迫受け元記者を来年度雇用しない考え伝える(NHKニュース 2014/10/31)
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