橋下徹大阪市長の肝いりで導入されたものの、弁当方式が不評の大阪市中学校給食。選択制で利用率が低迷したからといって、問題点の改善はそこそこにして全員給食導入で見かけ上の利用率を100%にしようとしたものの、7割の生徒が日常的に給食を食べ残していることがわかった。

 業者配送弁当方式では、食中毒予防などの観点から、おかずが10度以下の低温に保つという法的・技術的な制約がある。他地域では給食配膳室に備え付けられた業務用レンジなどで温め直す場合もあるようだが、大阪市では冷たいまま提供している。また、塩分量などに配慮しての薄味も生徒に不評だという。

 大阪市教委の担当者は「栄養バランスの改善も給食の目的の一つ。薄味に慣れるよう、家庭でも味付けに配慮してもらいたい」と話しているという。家庭でもある程度の配慮は必要であることは、一定の範囲内ではそうだろう。しかし、それを学校給食が不評の原因の全てにすり替えるのならば、問題である。

 おかずが冷たいままというのが致命的な問題である。家庭や飲食店などでは温めて食べるようなメニューを冷たくして出されれば、そんな味付けをされてもおいしくなくなるのではないか。

 学校給食そのものは、保護者からは求める声が高い。しかし、大阪市で学校給食の導入に賛成した保護者でも、小学校のような調理方式での温かい給食が念頭にあり、まさか弁当方式で冷たいおかずが出てきたりするなどとは夢にも思わなかったはずである。

 当面の策として現行の中学校給食はとりあえず選択制に戻したうえで抜本的な対策を取り、自校方式や親子調理方式・センター方式に切り替えたうえで、準備が整ったところから再導入することが必要なのではないか。

(参考)
◎生徒の約7割が給食を食べ残し…大阪市立中学校(読売新聞 2014/11/12)
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