2013年度に一部の区で導入され、2014年度に本格導入された大阪市での小中学校の学校選択制について、希望調査の中間集計結果が発表されている。希望変更受付を経て11月下旬には希望が確定し、希望者が受け入れ定員を上回ったところでは抽選の流れとなる。

 中間集計の中身を見てみると、特徴的な傾向があるように感じる。特定の学校や校区地域への風評につながりかねないことを配慮して具体的な学校名・地域名や数値など具体的な内容をここで名指しするのは控え、ぼかした形での表現となることをお断りしておきたい。

 学校選択制は行政区単位で選択できることになっているが、選ばれる学校と選ばれない学校がはっきり分かれる傾向があると感じる。

 大阪市では全国学力テストの学校別成績(平均点)を公表し、学校選択制の資料の一つとして活用するとしている。多くの行政区では、学校の平均点が周辺校より高い学校に、通学区域外からの選択者が集中しているように読み取れた。

 一方である区では、区内の一部地域で通学区域が複雑に設定されていることが背景にあるのか、その地域関係の学校で相互に通学区域外選択希望が多く現れているというような印象も受ける。

 大阪市全域から出願できる小中一貫校についても、希望調査の結果が発表されている。橋下市政のもとで大阪市が「エリート教育」をうたって目玉にしていても、交通の便などからあまり人気がない様子。またある小中一貫校では、学校が校区の端にあることなど地理的な問題なども反映したのか、周辺の小学校・中学校に通学区域外就学希望が集中し、校区在住者が流出している可能性もある。

 学校選択制の問題点は各地で指摘されている。大阪市でも他地域と同じ問題が出ているといえ、失敗に終わるといえるのではないか。学校選択制は、学校間の格差を生み出し、教育条件をゆがめることにもなりかねない。通学指定校よりも他の学校のほうが近い、いじめなどからの避難などは、学校選択制にしなくても、指定外就学制度の弾力化で十分に対応できることである。
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